伝えよう! 環境の知見を自治体議員へ ~世の中を動かすために~
2018年1月29日@横浜国立大学

 話をする機会を頂きました。話30分・質疑応答15分でした。以下は、そのダイジェスト版です。

 私は今日、2つの話をします。1つ目の話は、「自治体の実情」です。全国的には、地方公務員の数は減っている中で、環境部門の職員は、増えています。ところが、自治体が環境政策を進めるにあたり、最も困っている事は、「必要な人員が不足」とする調査結果があります。つまり、職員を増やしても環境政策を進められない現実を物語っています。

 2つ目の話は、「イベントの企画と市民参加」です。皆さんが外来生物駆除のイベント等を企画して、小中学校や自治会、行政、地方議員を巻き込むことを提案します。楽しい行事にすることがポイントです。 身の回りに環境に関する題材は意外とあるものです。自分ならどうアプローチするかと、考えながら聞いていただいてもいいでしょうか?
 特定外来生物オオキンケイギクをご存知でしょうか? 私は2014年、オオキンケイギクの駆除を中学校に提案し、実現できました。お陰様で、中学生を主役にしたオオキンケイギク駆除活動は、マスコミ7社が報道してくれました。

 次に、厚木市の公園で絶滅危惧種を間引いた事例をご紹介します。この日もマスコミ6社が報道してくれました。ミクリは合計7t、全体の約90%を間引きました。
 この公園の池には、コイがいます。一般の人に、「在来・野生のコイと観賞魚用・養殖用の外来のコイは別もの」であることを理解してもらうのは、なかなか大変です。毎朝、散歩に来てコイに餌をあげる人もいます。コイはアメリカザリガニ同様、何でも食べてしまいます。外来のコイは基本的に、「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。 この池の場合、真ん中に橋が架かっています。私は2つにゾーニングする方法を厚木市に提案しています。つまり、橋に網を付けて、コイが行ける場所を限定する手法です。もし、似たような状況の池がお近くにある場合、地方議員によく話してみてはいかがでしょうか?

 外来種駆除等を事例に、皆さんがお住まいの地域でも出来そうな事例を幾つかお話しました。やる気にさえなれば、たった一人でも近くの小中学校等に提案することも可能です。地方議員に同行してもらうという方法もあります。
 それと、大学ならではのイベント企画をご紹介します。学生や大学院生による小中学校での特別授業です。私は昨年、エジプト人留学生に中学校で授業をしてもらいました。テーマは、「海水を淡水化する研究」です。
 何らかのイベントを企画したら、議員に見に来てもらったらいかがでしょうか。このようにすれば、地域や学校、行政や議員に環境政策を体験してもらえます。 また、議員に環境政策について議会で質問してもらうことも出来ます。これは、行政に影響を与えます。知識の提供を受けた議員も助かりますよ。
 
 生物多様性地域戦略は、全国に1800弱ある自治体の中で、155の自治体しか作っていません。神奈川県内において、厚木市は横浜市と並んでいち早く地域戦略を策定した自治体です。人口規模22万5千人の厚木市の場合、私が2008年9月議会で促したためです。人口規模377万人の横浜市の場合は、生物多様性基本法に基づいて行政主導で策定しました。
 ご自分の自治体では生物多様性地域戦略がまだ策定されていない場合、「この人は」と思える議員に良く話してみてはいかがでしょうか? 議員に市役所に同行してもらい、担当職員と会った上で、その議員に議会で質問してもらう方法もあります。
 では、どのような議員に声を掛けたらいいでしょうか? 横浜市でしたら、Yahoo!やグーグル等で、「横浜市議会 議会だより」と検索してみて下さい。或いは、公民館に行けば、議会だよりを読むことが出来ます。議会だよりを読んで、ピンとくる議員を探してみて下さい。各議員がどのような質問をしているか、一覧できます。また、議会会議録で環境に関するキーワード検索をしてピンとくる議員を見付ける方法もあります。
 以上、いかがでしたでしょうか? 外来種等を題材にイベントを企画、小中学校や自治会、行政、地方議員を巻き込んでいく方法です。或いは、地方議員に直接、案件を投げ掛ける方法をお話しました。