特別授業/海水を淡水化する研究
2017年10月2日

 「たくさん勉強し、たくさん遊ぶ。自分が何をしたいかを探し、それを行う。出来るだけ旅行する。旅行へ行った際、話せるよう英語を勉強する。異文化に心を開く。今後、日本に世界中から人が来る。何故なら、最も住みやすく、学ぶのに最高の国であるため。
 日本で生まれた皆さんは、幸運。周囲にあるモノを改良し、日本を更に優れた国とするよう努力して下さい」。

 上記は、エジプト人・モハメッド・アベドルモネイモさん(25)による中学生へのメッセージです。モハメッドさんは、横浜国立大学大学院生として「海水を真水に変える研究」を行っています。

 モハメッドさんと横浜国大で知り合った私は、厚木市立荻野中学校(森茂樹校長)に特別授業を提案。2017年10月2日、実現に至りました。
 授業(担任:尾崎誠教諭)の冒頭、私はモハメッドさんを紹介する中で、「日本は、農産物や工業製品などの輸入を通じて国内消費量とほぼ同量の水を間接的に輸入している。そのため、水の問題は、自分たちにも関係がある。間接的な水の輸入をバーチャルウオーターという。それを頭に入れて、モハメッドさんの話を聞いて欲しい」と話しました。
 モハメッドさんはパワーポイントを使いながら英語で話し、英語教員が逐次通訳をしながら授業が進められました。「世界の人口が66億8千万人だった2008年、29の国と地域で3億3千万人が水不足の状況だった。2025年には人口増加により、世界人口(79億6千万人)の半数が深刻な水不足に直面する」と解説。また、「青い地球と呼ばれるが、飲み水は、総量の0.007%。97%は海水」と述べました。
海水の淡水化技術は、加熱方式とフィルター処理方式の2つがあり、モハメッドさんは、両方の方式を加えたハイブリッド方式の研究を行っているそうです。 
 授業終了後、生徒たちは、「地球上で飲める水が0.007%しかないことに驚いた」、「海水をもっとたくさん淡水化できる方法が見つかるといい」、「貴重な水をもっと大切にしようと思った」などと感想を述べていました。
 私は授業前日、パワーポイントに日本語訳を加えながら、生徒の知的好奇心を刺激する授業となることは容易に想像できました。実際の授業ではそれだけに留まらず、モハメッドさんは、数字を使いながら、「難しいことを簡単に」話していました。そのため、生徒たちが身を乗り出して聞いた授業となりました。

  大学院工学府生が厚木市立荻野中学校で特別授業を行いました(横浜国大ホームページ)

 
利点
欠点
加熱方式 高品質の水ができる 費用が掛かる(エネルギーが必要)
フィルター方式 費用を抑えられる(エネルギーは不要) 水に塩分が残りやすい