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 2013年6月厚木市議会一般質問

 市教委は私の一般質問の中で、①ITガバナンス及び②組織の課題を協議する方針を打ち出しました。厚木市議会に教育委員長が出席したのは13年ぶりです。
 また、 複式簿記の導入を提案に、「次期システム更新の際に複式簿記にも対応できるようにする」と、小林市長が答弁しました。

1. 教育行政について
  ア 教育委員長に組織論を問う  イ 教育委員会ITガバナンスについて
2.(仮称)健康こどもの森について
  ア 森林や動植物の調査について イ 市が想定している年間10万人の来場者について
3. 予算について
  ア インセンティブ予算について イ 複式簿記を活用したシステムについて



◯18番 高田 浩議員 (登壇)難波教育委員会委員長、本日はご出席いただき、まことにありがとうございます。私は、課題を示すだけにとどまらず、解決策を探る議論にまで深めたい考えであります。
平成19年12月定例会において、私は小林市長に、教育委員会の一定の独立性を尊重するお考えについてと、あえて愚問を投げかけたことがありました。また、予算編成が厳しくなっても教育への予算は減らすべきではないと述べたこともありました。しかし、それは無原則ではありません。
私は、平成20年9月定例会で厚木市コンピュータシステムの改革を提案しました。ことし2月定例会の答弁によれば、この4年間で5億9000万円の節約ができたことに加えて、来年からは新たなホストコンピュータの稼働により年間維持費が毎年1億9000万円安くなります。
私の見立てでは、この5年間、教育委員会は、ITガバナンスに関心を寄せていないようです。教育委員会のITガバナンスは2種類あります。1つは、市長部局と同様に、業者にとっていいお客さんになっていないかの検証。もう1つは、学習に使われているかです。PC教室は、多額の予算をかけながら学校間の差が大きく、使う先生のいないクラスの児童・生徒は機会損失をしている実態が長年放置されています。教育委員会はどうもITガバナンスに消極的です。昭和のフレーズを使うなら「木枯らし紋次郎」の「あっしにはかかわりのねえことでござんす」、平成のフレーズで言えば小島よしおの「でも、そんなの関係ねえ」といったところでしょうか。
市長部局と同じことを教育委員会でもと、私は3月から5月にかけて促しましたが、その間、議員になってから初めての事態が少なくとも2つありました。全国ニュースになるような事件が起きたら、教育委員会委員長や教育長があずかり知らないところであの手この手を駆使して事をおさめようとするメンタリティを発揮したり、箝口令をしくようですが、厚木市教育委員会は果たしてどうなるのかと案じております。
文部科学省は、平成17年、中央教育審議会において、教育委員会制度の現状と課題の中で、事務局案を追認するだけ、あるいは住民から遠い存在などの課題について、組織及び運営の改善や、保護者、地域住民と教育委員会、学校との関係の改善などの議論が公表されています。
福岡県春日市教育委員会は、「教育委員会活性化への挑戦 10年の軌跡」をサブタイトルとし、「教育委員会の活性化と事務局改革」と題した文書を公表しております。組織の規範について参考になるかと思われます。
次に、(仮称)健康こどもの森についてですが、楽しいガイドウオークを私自身幾つか経験していることもあり、施設、ガイド、プログラムを論じたいところですが、その前に、そもそも環境調査が十分であるかを検証いたします。
予算についてですが、私は以前、複式簿記導入の提案をいたしました。また、前回厚木市議会議員選挙の選挙公報で、実現したい政策は複式簿記の導入としましたし、あちらこちらで演説もしたことから、厚木市の動向を注視してきました。自治体の場合、インフラ資産を売却できないことから、全てを企業会計方式に移行するのではなく、単式簿記と複式簿記を併用するハイブリッド版が現実的なのだと思います。
また、インセンティブ予算とは、予算執行の節減額や増収額の一部を翌年度に担当部局に付与することですが、見解をお尋ねいたします。
以上、明快な答弁を期待しております。

◯神子雅人議長 市長。

◯小林常良市長 (登壇)ただいま高田浩議員から、(仮称)健康こどもの森について、森林や動植物の調査について、市のデータは十分かとのお尋ねでございますが、本事業計画地につきましては、平成4年度、自然環境を把握するため、周辺区域の実態調査をしております。その後、周辺部に猛禽類の営巣地が確認され、継続的に調査を実施しております。また、地域に精通した自然観察団体等のご協力を得て、本事業計画にふさわしい貴重な自然資源の保全や活用を図るため、データの収集を行っております。
次に、市が想定している年間10万人の来場者について、具体策はどうかとのお尋ねでございますが、(仮称)健康こどもの森につきましては、豊かな自然環境と厚木の里山原風景に触れ合い、森をすり抜け、鳥のような感覚を楽しむ空中回廊や、ロング滑り台などの整備を進めてまいります。また、実体験活動の新たな拠点として、子供から大人までが遊んで学んで元気になれるゲーム感覚を取り入れたプログラムを導入し、多くの方の来場を目指してまいります。
次に、予算について、インセンティブ予算について、導入を検討してはどうかとのお尋ねでございますが、インセンティブ予算は、各部等の創意工夫により経費節減や財源確保を行った場合、奨励的に配分する予算で、職員のコスト意識やモチベーションの向上を目的に導入するものと認識しております。本市では、平成23年度から、部等別枠配分方式により、新たな特定財源の確保や事業の見直しによる経費節減など、インセンティブ予算と同様の効果が生じる手法で予算編成を行ってまいりました。今後につきましては、節減等により捻出した経費の一部を各部に追加配分するなどの仕組みづくりを検討してまいります。
次に、複式簿記を活用したシステムについて、導入の考えはあるかとのお尋ねでございますが、本市では、平成20年度決算から、財務情報のわかりやすい開示と財政の効率化、適正化を進めるため、総務省方式改訂モデルにより財務書類を作成しております。現在新たな作成モデルへの移行に向けた準備をしているところであり、移行時期に合わせて複式簿記に対応したシステムを導入してまいります。
以上でございます。教育行政につきましては、教育委員会委員長及び教育長からご答弁申し上げます。

◯神子雅人議長 教育委員会委員長。

◯難波有三教育委員会委員長 (登壇)教育行政について、教育委員長に組織論を問う、教育委員会は組織として形骸化しているかとのお尋ねでございますが、教育委員会は、中立公正な立場から意思決定を行う合議制の執行機関であり、全ての事務をつかさどる教育長と他の委員との連携は十分に図られており、一体的な教育行政を推進しているところでございます。
また、私自身も、教育環境日本一を目指す教育委員会の委員長として、その役割の一端を担う1人であることを光栄に思い、誇りに思っているところでございます。
このため、子供たちのためにさまざまな角度から教育のあり方について意見を述べることで、広く地域住民の意向が反映された教育行政の実現が図られており、それらの状況は、教育委員会定例会を傍聴していただくことなどにより、市民の皆様にご理解いただけるものと考えております。

◯神子雅人議長 教育長。

◯平井 広教育長 (登壇)次に、教育委員会ITガバナンスについて、費用対効果を問うとのお尋ねでございますが、小・中学校における教育の情報化は、わかりやすい授業の実践や児童・生徒の情報活用能力の育成、さらに情報の共有化や校務の効率化などを目的としております。教育委員会では、その実現を図るため、機器等の仕様を見直すなど、費用対効果の視点も取り入れ、ICT機器等の情報環境の整備に努めてまいりました。今後もICT機器等の活用を図るとともに、ITガバナンスに十分留意し、最大限の効果が上げられるよう、情報環境の充実に努めてまいります。

◯18番 高田 浩議員 答弁ありがとうございます。一般的に教育委員会はルーチンワーク以外の課題に消極的だとも言われます。だとしたら意識改革が必要です。教育委員会委員長に見解をお尋ねいたします。

◯松本徳彦教育総務部長 職員の事務の関係ですので、私のほうからご答弁させていただきます。教育委員会の事務につきましては、同質性、平等性が求められているため、法令とか規則、また学習指導要領等で細かく定められた手続、いわゆるルーチンワークと言われる事務が多いことは事実であり、また、その処理に職員が追われていることも事実であります。しかしながら、高田議員がおっしゃるとおり、そうした中でも常に改善改革していくことは組織としても重要であると認識しておりますので、今後におきましても、職員の意識改革、また、積極的な事業の展開に意を注いでまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 厚木市内に36ある小・中学校における校長の任期について、過去5年間の範囲で資料請求いたしました。そうしたところ、1年または2年というケースが幾つか見受けられました。任期は一定の年数であってしかるべきであります。教育委員会委員長に見解をお尋ねいたします。

◯宮崎昌彦学校教育部長 所管であります学校教育部で答弁させていただきます。今ご指摘の校長を含めた教職員の人事異動につきましては、神奈川県及び厚木市、愛川町、清川村で構成されております厚木愛甲地区の人事異動方針に基づいて行っている現状がございます。それぞれの校長が確固たる教育理念のもとに信念を持って学校経営に当たるべく、同一校勤務年数を長期、おおむね5年ということにしております。
しかしながら、校長の在職期間につきましては、市町村間の人事交流、あるいは神奈川県教育委員会、市町村教育委員会との人事交流、また小・中学校との相互の人事交流などにより、やむを得ず短期となる場合がございます。もちろん短期の在職につきまして好ましいという考えは持っておりません。今、高田議員がご指摘の点につきましては今後十分に配慮して、神奈川県及び厚木愛甲地区の人事異動方針に基づきまして、校長の同一校勤務年数を長期とすることを原則として、今後配慮に努めてまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 児童・生徒の学力向上のために、教育委員会は組織としてどのような戦略や組織力があるかが、私が最も関心を寄せている点の1つであります。そのためには、教職員のモチベーションを高めることや、内部から出てくるアイデアを評価して進めていくことができる組織である必要があります。教育環境日本一を目指す厚木市教育委員会の現状と今後について、教育委員会委員長に見解をお尋ねいたします。

◯宮崎昌彦学校教育部長 それぞれ学校と教育委員会の連携、組織ということでございますけれども、教育委員会におきましては、未来を担う人づくりのためにという基本理念を作成しまして、その中で8つの基本方針に基づいて、教職員の資質の向上、能力の向上を通して生き生きとした信頼される学校づくりを進めておるところでございます。
今、高田議員がご指摘の組織的な対応については重要な内容だと認識しております。今後も教職員が指導力を向上させ、やる気のみなぎるような自主的な研修を設定したり、また、校内研修等を活性化するための多様な取り組みを推進して、教職員のモチベーションを高めてまいりたいと思っております。
また、学校と教育委員会の連携ということでございますけれども、日ごろから学校現場と密接にかかわりのある指導主事がおりまして、その指導主事を中心に連携を継続していく必要があると考えております。この指導主事が学校の中のいろいろな課題を集約して、部内各課で情報交換や意見交換を行って、指導主事を中心に解決策のいろいろなアイデアを出しながら、子供たちの実態とか地域の実情に配慮した中で、各学校の課題の解決を支援しているところでございます。最終的には学校現場と教育委員会が両輪となって、厚木市の子供の将来を見据えたより効果的な授業実践につながるように、政策決定能力の向上についても努めてまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 文部科学省中央教育審議会の議論及び福岡県春日市教育委員会の「教育委員会の活性化と事務局改革」と題した文書を参考に、厚木市教育委員会に組織としての課題はないか、あるいは対策を話し合ってはいかがでしょうか。厚木市議会も議会改革に取り組んでいますが、その教育委員会バージョンであります。教育委員会委員長に見解をお尋ねいたします。

◯松本徳彦教育総務部長 教育環境日本一を目指す厚木市にとりまして、全国でのさまざまな取り組みを参考にしたり、比較することは非常に大切であり、また必要なことであると考えてございます。先ほど高田議員からご紹介いただきました福岡県春日市の取り組みにつきましても文書をしっかり読ませていただきました。こうした取り組みにつきまして、教育委員会定例会の中でも他市の取り組みとして紹介するなどしていきたいと思っております。
また、現在、中央教育審議会で審議されております今後の地方教育行政のあり方についての議論もしっかり見据えながら、事務局内部でも勉強会を設けるなど、教育委員会のさらなる活性化というものに、事務局もみずから変わるという視点で取り組んでまいりたいと考えてございます。

◯18番 高田 浩議員 昨夜21時20分過ぎに、私は教育総務課長から電話をいただきました。その際、教育委員会委員長が答えるにはふさわしくない再質問であるため、教育長や部長が答弁するという内容でありました。話が180度変わりました。文部科学省中央教育審議会の議論も踏まえた上での質問でありますが、教育委員会委員長が答えるにふさわしくない再質問である根拠をお示しください。

◯松本徳彦教育総務部長 教育委員会委員長は教育委員会の代表ということは間違いございません。ただ、事務を行う一番のトップにつきましては、先ほど答弁もありましたとおり、教育長が担っております。教育長の下に事務局が置かれておりますので、事務の取り扱い等については当然事務局が責任を持ってお答えしたいという趣旨でございました。

◯18番 高田 浩議員 平成12年にも教育委員会委員長が再質問の答弁をした事例がありますので、今の答弁では私の疑問はクリアになりません。
議員資料請求によると、平成24年度において、各学校のサーバー、パソコン、プリンター周辺機器及び保守費用は8236万3349円ですが、これらの費用は業者に問い合わせてもそれぞれ案分できないそうです。求めても業者は概算を出すこともせず、教育委員会は業者の言いなりで発注をしている典型的な事例であります。私は平成20年9月定例会からこの課題を教育委員会に伝えています。この5年間何をしてきたのか、今後どうするのか、見解をお尋ねいたします。

◯宮崎昌彦学校教育部長 今ご指摘のそれぞれの保守契約料、委託契約に関しまして、これまでの仕様書等の作成について課題があったと認識しております。サーバー、パソコン、プリンター周辺機器のリース料、それから保守契約料につきましては、機器構成一覧表等を業者に仕様書で示した上で入札し、契約を締結しておりますが、これまで案分資料は求めておりませんでした。今後につきましては、予算算出根拠となるために、案分等も求めてまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 保守にはそれぞれ相当多額な費用がかかっています。教育委員会にとっては保険かもしれませんが、業者にとっては利益が確保できるおいしい部分であります。年間の故障率を調査し、それに応じた保守費用を算出して業者と交渉するのが合理的でありますが、見解をお尋ねいたします。

◯宮崎昌彦学校教育部長 今ご指摘のICTの保守に関して、目的といたしましては、安定的な運用、故障時の早期復旧など適切な維持管理が目的となっております。この目的に沿って、機器構成一覧とか過去の保守実績をもとに必要な業務につきまして仕様書を作成し、複数の業者から参考見積もりを徴取するなど検討し、費用算出の根拠としております。さらにこれから見直しが可能かどうかについて、前向きに検討を進めてまいりたいと思っております。

◯18番 高田 浩議員 教育委員会、あるいは学校のホームページ作成システムは、市長部局と違うシステムを導入しております。絶対的に違うシステムでなければいけない、困る理由がなければ、システムの次回更新時に統一を検討してはいかがでしょうか。

◯宮崎昌彦学校教育部長 学校のホームページにつきましては、平成24年度、小・中学校全体で180万件を超えるアクセスがございました。これは学校からの情報発信の有効な機会と捉えております。今ご指摘のシステムにつきましては、情報発信の安易さ、学校現場でいろいろな行事があったときにすぐ発信できるとか素早さ、それから安定運用の継続、経費削減の観点から、今後、厚木市が現在持っておりますホームページとの共有についても検討を進めてまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 4月から着任した宮崎学校教育部長はコンピュータに随分お詳しいようで、話が非常にスムーズな印象を受けます。
パソコン教室の利用は学校によって差があります。教材用サーバーなど幾つかのサーバーがありますが、これらサーバーも見直すべき点が多々あります。学校情報化と教育委員会サーバー見直しのワーキングチームをそれぞれ創設して、あるべき姿を探り、今年度中に方向性を出してはいかがでしょうか。

◯宮崎昌彦学校教育部長 学校のICTの活用、それからぞれぞれ設置してありますサーバーにつきまして、いわゆるコンピュータシステムにつきましては、費用対効果の視点からも、予算執行だけでなく、今後の運用や活用に至るまで、総合的に検証する必要があると考えております。今、高田議員から、そのような観点から大変貴重なすばらしい提案をいただいたのですけれども、名称はまだ確定しておりませんが、1つは学校の子供たちのICT活用能力を上げるための部会、もう1つはサーバー等の再検討、見直しについての部会、この2つを直ちに立ち上げまして、議論を交わす中で狙いを達成できるように、一定の方向性を出せるように進めていきたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 少なくとも平成26年度中は3カ月に1度など、定期的に教育委員会ITガバナンス見直しワーキングチームの報告書を教育委員会定例会に提出して議題とすることを提案いたします。教育委員会定例会で議題としていただきたい目的としては、何事も広い視野から考察することが望ましいためであります。見解をお尋ねいたします。

◯宮崎昌彦学校教育部長 先ほど述べましたそれぞれの検討部会については早速協議を進めてまいりますけれども、その両部会の内容につきましては学校のICT活用の重要な方向性を検討するものでございます。したがいまして、今、高田議員がおっしゃいましたように、最終報告だけでなく、途中で必要に応じて教育委員会に報告させていただき、教育委員の皆様からも幅広いご意見をいただきたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 教育委員会のサーバーの見直しにより予算節約の見通しがついたら、それを原資に少なくとも2つ考えていただきたいことがあります。1つは荻野公民館上荻野分館さくらまつりの予算であります。わずか16万円だそうです。また、上荻野小学校の通学路になっている学校にすぐ接した橋がありますが、地元自治会から要望が出ているのでご承知だと思いますが、その橋の耐震診断やかけかえ要望が提案されております。ご一考いただけますか。後で述べるインセンティブ予算とあわせてお考えいただきたいのですが、いかがでしょうか。

◯山田茂穂社会教育部長 ただいまご提案の上荻野分館のさくらまつり等の予算でございますけれども、先ほど市長の答弁がございましたが、今後、総括的な経費の一部を各部に振り分けるなどの仕組みを検討していくということでございますので、その辺の検討状況と、また、公民館まつり、さくらまつり等公民館に関する予算につきましては、人口配分とかから算出してございますので、その辺を検討しながら、また公民館長ともご相談して検討してまいりたいと考えております。

◯宮崎昌彦学校教育部長 上荻野小学校の鉄橋のある通学路につきましては、学校と情報を共有させていただいておりまして、情報が入っております。関係の道路部とも調整しながら検討していきたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 難波教育委員会委員長、本日の出席ありがとうございます。重ねて御礼申し上げます。本日の質疑を振り返り、全体の感想でも構いません。あるいは文部科学省中央教育審議会の先ほど述べた文書についてのコメントでも構いません。感想などありましたらお願いいたします。

◯難波有三教育委員会委員長 きょうはこのような席に呼んでいただきまして、どうもありがとうございます。教育委員会といたしましては、厚木市内各36の小・中学校が、保護者の皆様や地域の方々と連携を図りながら、子供たちにとって理想的な教育を図っていくことがとても大切だろうと思います。その1つには、先ほど高田議員もご指摘いただきましたけれども、先生が子供への教育をしっかりできるような環境づくりをしていくことがとても大切だろうと思いますし、また、先生方から出てきた意見も広く学校の中で反映できる、あるいは教育委員会まで届いて、お互いに助け合いながらというか連携しながら、学校教育の現場がなお一層充実していけばいいなと思っております。また、そのために私どももいろいろな部分で力を発揮していければと思っております。
それから、昨日、高田議員からちょうだいいたしました福岡県春日市の教育委員会の「教育委員会の活性化と事務局改革」という資料を見させていただきました。高田議員から冒頭、やはり議論だけではなくて実行することがとても大事だというご指摘もいただきましたけれども、その中にちょうど教育懇談会のスタートという部分がございまして、学校教育分野にとどまらない多様な議論を教育委員はしていくべきだということで、この資料の中には、市長との意見交換会を定例化したらどうかとか、あるいは議会常任委員会、厚木市の場合は環境教育常任委員会でございますが、そちらとの意見交換会、あるいは相互傍聴のスタート、また、家庭の教育力向上に向けた社会教育委員との意見交換会、さらには市長、教育長とPTA連絡協議会役員との意見交換会への参加とか、幾つか具体的な事例も載っております。実際厚木市の教育委員会でも実施していることもございますし、また、過去に行っていた事例もあるようでございます。こういうものも参考にしながら、私どもも気をつけなければいけないのは、教育に関係する方々だけの意見で物事を判断していくのではなくて、やはり広く多くの方々の意見も拝聴しながらこれからの教育行政に生かしていきたいと思いました。

◯18番 高田 浩議員 ありがとうございます。
次に、(仮称)健康こどもの森について質問を移ります。
まず、環境農政部長に生物多様性あつぎ戦略についてお尋ねいたします。(仮称)健康こどもの森計画地は里山です。生物多様性あつぎ戦略の行動戦略を見ると、里地里山保全促進条例の制定や厚木市版レッドデータの作成などの記述があります。ほかの部署との認識の共有は進んでいますか。

◯栗原幹夫環境農政部長 今、高田議員からご指摘の生物多様性あつぎ戦略でございますけれども、一昨年から生物多様性あつぎ戦略推進委員会等の協議には専門の先生方にご参加いただきながらいろいろと検討を重ね、本年3月にまとめた計画でございます。そのもとは国の生物多様性基本法とか生物多様性国家戦略に基づいた地域版の戦略ということになります。
今、庁内の周知というお尋ねでございますけれども、部長会で周知を図ったほか、ホームページ等に載せた形で庁内的にこの戦略に沿ったものを進めていこうと考えておりますが、今後におきまして、今年度中に関係部署の職員によります庁内的な生物多様性あつぎ戦略推進委員会を立ち上げます。この戦略にはもう既に実施している取り組みも載ってございます。そういう情報の共有化とともに、今後いろいろな戦略をいかに進めていくかという形で、効率的に横断的に施策を展開してまいりたいと考えております。

◯18番 高田 浩議員 (仮称)健康こどもの森は予算が11億円だと発表されています。そのうち生態系の調査にかける予算額はどの程度かお答えください。

◯櫛田正夫河川みどり部長 今お尋ねの生態系の予算につきましては、地元の有識者、あるいは専門家などに参加していただきまして、特に予算を組んで調査をするものについては、建設費の中の予算には計上してございません。

◯18番 高田 浩議員 計画地の森林や動植物についての総合的な調査報告は、何年のどのような調査を行ったものを持っていますか。

◯櫛田正夫河川みどり部長 計画地につきましては、平成4年度に環境調査をしたものがございます。この調査をもとに、現地の中で確認していきたいということで考えてございます。

◯18番 高田 浩議員 21年前の環境影響調査を持ち出すのは、少なくとも3つの理由で無理があります。1つは古過ぎること、2つは(仮称)健康こどもの森の約3倍のエリアが対象であること、3つは環境アセスメントは事業執行に伴う影響評価であって、動植物のリストアップではないことであります。計画地に生息する動植物のリストアップは完了していますか。

◯櫛田正夫河川みどり部長 計画地の中で、動植物、あるいは魚類の確認はしてございます。特に魚類の中で絶滅危惧種IB類が生息しているのは確認してございます。その他動植物につきましても、地元の皆様と一緒に確認しながら、保護活動を行いながら事業を進めていく計画でございます。

◯18番 高田 浩議員 絶滅危惧種といっても幾つかランクがあります。最上位は絶滅危惧種I類ですが、私は5月末から先週末にかけて、神奈川県が絶滅危惧種I類にランクする両生類を計画地で見ました。写真も撮りました。絶滅危惧種IB類の魚類も見ました。こちらも写真を撮りました。これらについては、私が初めて見つけたわけではなく、昨年論文も出ております。里地里山保全促進条例の制定や厚木市版レッドデータの作成を行おうとする一方で、調査もせず、保全策も考えずに、絶滅危惧種I類を計画地から絶滅に追いやろうとするかのような事業の進め方には疑問を感じます。矛盾をしていませんか。予算額が11億円でありながら、厚木市は絶滅危惧種I類が生息する計画地の総合的な環境調査と保全計画なしにこのまま計画を進めるのでしょうか。

◯櫛田正夫河川みどり部長 絶滅危惧種IB類については私どもも確認してございます。この建設につきましては、自然の姿をなるべく残しながら事業計画を進めるというコンセプトで進めてございます。先ほども申しましたが、保護活動については、専門知識を有する方に一時的に保護、飼育をしていただきながら、事業が完了した時点でまたもとの位置へ戻すという形で、地域と一緒に進める事業として考えてございます。

◯18番 高田 浩議員 21年前の環境アセスメントには次の記述があります。哺乳類の餌場、水飲み場、両生類、爬虫類、昆虫等の生息環境として重要な地域、北側の崖地にはヤマセミ等の営巣地が存在している。これらの部分は計画上保全されるため、生息環境の変化は少ないものと考えられる。しかしながら、計画に伴い、地下水の変化により湧き水の枯渇等が考えられる。十分留意する必要がある。
この部分に管理棟と4メートル幅の道路をつくって休耕田を分断しようとしています。厚木市が環境アセスメントを覆して大丈夫だとする根拠は何でしょうか。

◯櫛田正夫河川みどり部長 休耕田につきましては、当然昔は田んぼをつくっていた場所で、これにつきましては谷戸田と申しまして、遊水池がございまして、その水を利用して田んぼをつくっていたということで、先ほども申しましたけれども、なるべく遊水池とか休耕田は現状のままで活用していく計画を立ててございます。先ほども申しましたが、絶滅危惧種の魚類、動植物については、現場の中でどうしても工事をやらなければいけない部分については、先に移植、移動をさせて事業を進めていくコンセプトでございます。

◯18番 高田 浩議員 調べなければ何がいるかわからないでしょう。
環境農政部長にお尋ねします。生物多様性あつぎ戦略には里地里山の保全、再生とあり、猛禽類であるサシバの生息できる環境整備がうたわれております。湧き水が枯渇したら、両生類、爬虫類、魚類などはアウトです。4メートル幅の道路を新設して休耕田を分断し、湿地のコアな部分に管理棟を設置する計画であります。生息環境の分断は、分断面積に比例せず生息域の大幅な減少となり、動植物の急速な減少、絶滅へとつながります。気がつけば在来種は減り、今はいない外来種が目立つ公園になる可能性がかいま見えます。環境農政部がうたうサシバが生息できる環境に近づく計画でしょうか。

◯栗原幹夫環境農政部長 確かに高田議員がご指摘のように、サシバが生息できる環境が1つの指標として生物多様性あつぎ戦略の中にはうたわれております。今、河川みどり部長から事業計画等について説明があったわけでございますけれども、環境農政部といたしましては、この生物多様性の推進組織も設置するというお話もさせていただきました。また、お話に出ております厚木市版レッドデータも行動戦略の中で策定していくということで、そういう組織も設置してまいりたいと考えております。
いずれにしても、全市的な形で方向性を考える組織、あるいは取り組みになりますけれども、環境農政部といたしましても河川みどり部と連携をとりまして、今、高田議員がご指摘の内容が誤りのないような形で進めていければと考えております。

◯18番 高田 浩議員 苦しい答弁ですね。私は生物多様性の会議の設定を提案した立場でもあり、関東、あるいは日本全国でもかなりの早さで設置された厚木市でありますが、一方では戦略会議を設置し、一方では違うことをしている。鈴木副市長にお尋ねしますが、これまでの質疑を聞いて、環境調査と保全計画なしにこのまま事業を進めるのでしょうか。

◯神子雅人議長 鈴木副市長、時間が迫っております。簡潔に答弁願います。

◯鈴木 勲副市長 (仮称)健康こどもの森の整備に当たりましては、里地里山との共生をまず第一に留意いたしまして、希少種の固体群を含めた生物多様性を育む環境の保持を図ってまいることに留意していきます。また、地域社会との共生、市民の皆様ともども、こういう環境の保持、また体験を通じた施設の整備につきましても、皆様のご同意、あるいは環境の調整を図りながら推進していきたいと思っております。

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