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以下は、2001年3月21日(2月議会最終日)に行った、「相模大堰右岸高水敷におけるビオトープの整備に関する陳情」への賛成討論の原稿です。また、賛成討論とは、採決を行う前に、会派の主張を述べる機会です。 |
厚木市は、1984年に岡田地区自治会長4名が提出した「地元要望」を根拠に河川敷整備を進める計画ですが、建設省の方針の変更や河川法の改正によって、正当性は失っています。 しかし、国が変わっても、都道府県にその変化が実際に波及するまでには時間がかかり、更には現場の自治体は過去に固執することがよくあります。 厚木市が、市民に広く情報を伝えることを怠る姿勢を改めない限り、今回、岡田地区で発生したことと同様なことが、皆さんの身の上にも突如として降りかかって来ます。 |
私は、あつぎ市民派議員会議を代表して、全議案の中から特に12陳情第24号「相模大堰右岸高水敷におけるビオトープの整備に関する陳情」について、賛成の立場から討論を行います。 |
厚木市が相模大堰付近の河川敷に計画している多目的広場と称したスポーツ広場をめぐって、地元自治会長及び河原組合と地域住民ががそれぞれ市議会に陳情を提出する異常事態が発生しました。 |
神奈川県民の取水施設である相模大堰建設に伴い、1984年に当時の自治会長四人が地元要望として出した相模川河川敷の整備計画が着工目前となった今、新聞報道などによって、ようやく多くの地元住民が計画の存在を知るに至りました。 |
昨年11月13日に、岡田地区に発足した相模川多自然型川づくりを推進する会が相模大堰周辺の河川敷をビオトープとして整備するよう求めた陳情を提出し、新聞六社が報道しました。 |
これを受けて昨年11月24日に地元自治会長らが、「陳情提出が報道されたことが遺憾」であるとし、厚木市の方針に沿った多目的広場整備促進陳情を提出しました。「地元自治会を愚弄している」との下りもありました。 |
その後、自治会長らは、自治会組織を使って署名を集め、先に触れたやや感情的とも受け取れる部分を修正した上で、別の陳情として新たに陳情が提出されました。しかし、今回、環境教育常任委員会で、ビオトープにして欲しいとの陳情が賛成少数となったことは大変残念です。 |
私が昨年12月議会で述べた通り、厚木市が推進する多目的広場計画について川に詳しい専門家に尋ねたところ、利用者にとって快適であり、美観を保つことが出来ることがメリットだそうです。又、デメリットとしては、@芝の維持に相当手を加える必要があること、A芝張りの際に入れる土によって本来河川敷にない種子が混ざること、B相模川では六年に一度の割合で発生する大水によって、一度で破壊される可能性を挙げていました。 |
又、ビオトープとするメリットは、地域の財産になるとし、特に相川小学校が隣接しているために、四季を通じて自然の変化を体験学習出来る場所となると述べていました。デメリットは、一般に、自然学習の理解が進んでいないので、利用者が少なくなる可能性を指摘していました。但し、それが悪いことではないと付け加えていました。この議場にいる皆さんの耳には、どちらが望ましく響いて来ますでしょか? |
1990年に建設省が打ち出した「多自然型川づくり」の方針に基づいて、神奈川県は、相模川の四カ所を多自然型川づくりのモデル地域としました。厚木市の多目的広場計画は、県モデル地域の一つ相模大堰周辺地域のど真ん中です。 |
厚木市の事業推進の根拠は、先に触れた1984年に岡田地区自治会長四人の連名で提出された要望書ですが、これが多数の地域住民の声を集約した結果であるか否かが疑問です。その証拠が昨年11月13日の地域住民による陳情であり、自治会長四人だけの相反する陳情です。 |
聞くところによれば、岡田地区自治会長四人は、11月23日に自治会組長約二五人を集め、陳情について協議したものの、「地元自治会を愚弄している」といった冷静さを欠く内容であるため、組長らの賛同を得られず、陳情文章を書き直してくることになったそうです。ところが、翌日、自治会長四人が自治会長の肩書きを使って陳情を出しました。ここにはどのような力が作用したのでしょうか? |
これまで厚木市は、市の方針を自治会長に伝えることで市民に説明したとし、又、「自治会長の要望イコール地元の要望」とする行政手法をしばしば見受けることがあります。 この2月議会の環境教育常任委員会で、多目的広場計画について、地元自治会長とだけ3回か5回のみ行っただけで、その話し合いを行ったことを厚木市役所は、市民に伝えることは何もしていないことが明らかになりました。つまり、多くの市民にとって、自分の身の回りで厚木市が何をしようとしているかを全く知らなかった人が圧倒的多数でした。 |
自治会長だけに話をしたことを以て、市民に説明したことにする前近代的な手法は、いい加減に改めていただきたい。 多目的広場計画は、圧倒的多数の地元住民が知らなかった計画であり、旧建設省の方針にも沿っていないばかりか、改正された河川法に明記されている「地域住民の声を反映させる」ことを怠っている多目的広場計画に、私たち厚木市議会議員は、賛否の場面でどうすべきか明確であります。 |
この2月議会冒頭で、森首相辞任を求める決議案が全員賛成で決議されました。それに刺激されてか、他の地方議会でも同様な決議案が審査されましたが、必ずしも全員賛成で採択された訳ではなく、否決した議会もありました。それを指して、あるマスコミ関係者が、「厚木市議会は民度が高い」と評していました。今回も皆さんが賢明な判断を下すよう期待しています。 |
市民意識が高まり、情報伝達手段が発達した社会では、行政の方針に民は従うのみとの姿勢は通用しません。行政は情報を市民に提供し、住民で地域の在り方を決めてもらう姿勢に転換すべき時代です。 |
情報公開は、時代の流れであり、その流れに沿った行政運営を行えば、今回のような地域を割ったかのような議論も発生しない。行政の姿勢が問題を生んだと言えます。 厚木市は自治会長に頼る手法を改めない限り、今後も同様のケースの続発は避けられません。山口市長が言う「市民が主役」とは、実は「自治会長が主役」なのでしょうか? |
旧建設省河川局は、自然の復元を政策目標に据えました。担当者に相模川多自然型川づくりを推進する会が提出した陳情の感想を求めたところ、「建設省の方針に合致している」と述べていました。 昨年12月議会で、あの河川敷には芝は自然に植生しているものではないことが市役所側答弁を以て明らかになりました。結論を求められている厚木市議会も、旧建設省の方針を理解すれば、おのずと結論が見えてくるはずです。 |
地域にしこりを残すことは避けなければなりません。川に詳しい学芸員や市民、自治会、市、県、環境団体などをメンバーとした協議会を設置し、計画地の在り方をを模索することが望ましい姿です。 |
厚木市は、11月13日の市民との話し合いの場で、一部ビオトープにするとの変更案を提示しました。しかし、住民からの陳情が出されたことを理由に、話し合いが中断されたままです。つまり、一部ビオトープに変更するという提案は、市民と十分協議されていない状態です。 |
従って、ビオトープ陳情が環境教育委員会で不採択になり、多目的広場促進陳情が採択された現状で、厚木市は直ちに市民との話し合いを再会し、一部ビオトープ変更案を含む多目的広場整備内容について真摯な話し合いを再会すべきです。 |
これが二手に割れたかのような岡田地区の住民の溝を埋める唯一の方法です。厚木市が従来の計画案に固執して計画を強行することはあってはならないことです。 「岡田地区の自治会長らが話し合いを拒否している」と、環境教育常任委員会でスポーツ課長が述べていましたが、行政は市民との話し合いに応じなければなりません。 |
以上を以て、相模川多自然型川づくりを推進する12陳情第24の賛成討論とします。 |