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 県学芸員と(仮称)健康こどもの森へ
2013年9月

 「厚木のような都市で奇跡的に残っている。大切にして欲しい」

 昆虫がご専門の県学芸員の言葉です。昆虫の視点から公園計画地(今年10月着工)を見て頂きました。休耕田・湿地エリアに3M幅の道路が造られます。一般に、舗装をすると森林の乾燥化を招きます。その道に沿った崖はどうなるのでしょうか? オサムシなどの越冬場所だそうです。水田となるエリアを見ながら、「一部残すことが望ましい。トンボは草むらでしか餌を捕ったり摂食しない種もある」と述べていました。
 下の概要図に黄色の文字で「動植物にとって」とある辺りを歩きました。伸びた木々により暗くなり過ぎの部分もかなり見受けられ、放置された里山の典型です。両サイドに小川があります。湧水が出ている箇所を掴んでおきつつ、どちらかを明るくし、暗いところを残す方法もあるようです。一例として、カワトンボ(ここの種類はニホンカワトンボ)にとっては、水量が安定しいる所を明るくすると宜しいそうです。

 計画地はサラサヤンマ(県絶滅危惧ⅠB類)というトンボの安定した生息地です。県内ではこの計画地周辺と三浦市三崎町小網代の二カ所で生息が確認されています。原案における造成する池の位置が問題となります。サラサヤンマは、ごく水深の浅い木陰にある湿地を好むことと、そのような場所が限定されることから、湿地の改変には、細心の注意が必要だそうです。
 休耕田・湿地エリア奥には林になっている箇所があります。その林より奥の湿地は基本的に手を付けることは好ましくないことを示唆。「湿地は管理が大事」、「木道を通す意味と目的は?」、「木道で草むらを渡って楽しい人は少ない」などと述べていました。必然性(目的)の考察は極めて重要です。水田のために池を作るなら、その場所である必然性。深さ広さの必然性。木道を設置するなら、設置の必然性。色の必然性。高さの必然性...。
 この計画地は、県学芸員にとっても馴染みのある場所。私の提案により「工事への配慮」と「開園後の維持管理に参加する仕組み作り」を目的に、ワーキンググループが立ち上げられます。参画頂ける用意があるようで心強いです。

  

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