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 昭和の厚木市環境基本条例、改正はいつ?

 1986年(昭和61年)と聞いて、思い出すことはありますか。そもそも、生まれていましたか。1986年の日本レコード大賞は、中森明菜のDESIRE。米国アカデミー作品賞は、愛と哀しみの果て。トム・クルーズ主演のTOP GUNも1986年の映画ですが、ご存じですか。中曽根康弘氏が首相でした。
 厚木市は1986年、「厚木市環境保全に関する基本条例」を制定。その名称は1998年、「厚木市環境基本条例」に変更されました。基本的に、条例の内容は1986年当時のままです。環境についての課題は、27年前と大幅に変化しています。

 条例改正には、厚木市が抱えている課題の抽出が最初の作業です。但し、それは、厚木市環境基本計画(2009年)により、ほぼカバーされています。住民参加や情報公開、調査の実施、課題解決手法の導入、市民・事業者・行政の責務、次の世代に自然を継承などの視点が重要です。
 一般に、条文は重要ですが、附則(最下段の文)が全てを規定することがあります。また、上位法と個別法の一例として、労働基準法は改正しがたい要因があるため、パートタイム労働法などの個別法令で補っています。厚木市に限らず、環境基本条例そのものを改正しないで、環境基本計画で補う自治体がかなりあります。厚木市法制担当者のみならず、視察で他市に伺った際、見解をお聞きしたいところです。
 今年12月( 2013年)にも提案が予定されている (仮称)里地里山保全促進条例。個別条例とともに上位の環境基本条例も完成度を高めてはいかがでしょうか。

熊本市
環境基本条例

第8条 市は、良好な環境に対する侵害を防止し、又はこれを除去するため、市民及び事業者に対し、必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。

2 市は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。

第9条 市は、良好な環境の確保に関し紛争が生じたときは、その紛争の解決に資するため、これのあっせん又は調停にあたることができる。
2 前項のあっせん又は調停を行うものとして、熊本市環境紛争調整委員会を置く。
3 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 上記は、課題解決のための条文を入れている熊本市(政令指定都市)の事例です。第8条は一考の余地はあるでしょう。以下、「環境配慮の5原則」(ミティゲーション)の反映もお勧めです。2002年施行の改正土地改良法により「環境との調和への配慮」が原則となりました。これに基づいて、環境情報協議会を設置する自治体が幾つも見受けられます。米国発の考えです。農水省や多くの地方自治体が取り入れています。

優先順位1
回避

行為の全体又は一部を実行しないことにより、影響を回避
・遊水池の保全
道路計画を変更、現状のまま保全

優先順位2
最小化

行為の実施程度又は規模を規制することにより、影響を最小化
・生物に配慮した用水路
木材を利用した護岸水路を整備、影響を最小化
優先順位3
修正
影響を受けた環境そのものを修復、復興または回復することにより、影響を修正
・魚道の設置
落差工により水路のネットワークが分断されている状況を魚道の設置により修正
優先順位4
影響の軽減・除去
行為期間中、環境保護および維持により、時間を経て生じる影響を軽減または除去
・一時的移動
影響を受ける生物を一時的に捕獲、移動し、施工後再び元に戻す
優先順位5
代償
代償の資源または環境を置換又は供給することにより、影響を代償
・代償施設の設置
湿地・池沼等の産卵・生息場所を工事区域外に設置し、同じ環境を確保


厚木市環境基本条例(2013年7月現在)
1986年(昭和61年)6月25日
改正 平成10年3月24日条例第11号
題名改称:「厚木市環境保全に関する基本条例」から1998年、「厚木市環境基本条例」に変更
平成12年3月21日条例第7号
良好な環境の確保は、健康で文化的な生活を営む上で、必要で欠くことのできないものである。この理念に基づき、厚木市は、恵まれた山河を擁する自然環境を背景に、良好な環境の確保に努めてきた。 しかし、社会経済の発展、人口の増加等により生活環境が変化しつつある。 このような現状を踏まえ、良好な環境の確保を図るため、市民と行政が一体となって調和のとれたまちづくりを推進し、美しい自然と住み良い郷土を守るため、ここにこの条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、市民が健康で安全かつ快適な生活を営むため、良好な環境の保全及び創造に関する基本的な事項を定め、その推進を図り、もって市民の福祉の増進を図ることを目的とする。
(平10条例11・一部改正)
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 良好な環境 市民が健康で安全かつ快適な生活を営むことができる自然環境、生活環境及び文化環境をいう。
(2) 自然環境 自然の生態系をめぐる土地、大気、水及び動植物をいう。
(3) 生活環境 人の生活に関する環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものとする。
(4) 文化環境 郷土の歴史的意義を有する文化的所産を保護し、保存するための環境をいう。
(5) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(6) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(平10条例11・一部改正)
(基本理念)
第3条 良好な環境の保全及び創造は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
2 良好な環境の保全及び創造は、環境への負荷をできるだけ低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われることによって、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的な発展が可能な社会が構築されることを旨とし、行われなければならない。
3 地球環境保全は、人類共通の課題であるとともに市民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上で極めて重要であることから、積極的に推進されなければならない。
(平10条例11・追加)
(基本的責務)
第4条 前条に規定する良好な環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、すべての市民が良好な環境の下で生活を営むことができるよう、何人もみだりに環境の破壊を引き起こすことのないようにするとともに、すすんで良好な環境の保全及び創造に努めるものとする。
(平10条例11・旧第3条繰下・一部改正)
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する施策に協力するものとする。
(平10条例11・旧第4条繰下・一部改正)
(事業者の責務)
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、自らの責任において基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に必要な措置を講ずるとともに、市が実施する施策に協力するものとする。
(平10条例11・旧第5条繰下・一部改正)
(市の責務)
第7条 市は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するものとする。
(平10条例11・追加)
(良好な環境の保全及び創造に関する施策)
第8条 市長は、前条に規定する施策として、次条に定めるもののほか、次に掲げる事項の施策を策定し、及び実施するものとする。
(1) 市民の健康と安全に関すること。
(2) 都市の美観に関すること。
(3) 青少年に有害となる環境の浄化に関すること。
(4) 自然環境の保全に関すること。
(5) 文化環境の保全に関すること。
(6) 地球環境保全に関すること。
(7) その他良好な環境の保全及び創造に関し必要なこと。
(平10条例11・旧第7条繰下・一部改正)
(環境基本計画)
第9条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、良好な環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、良好な環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向その他必要な事項について定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民、事業者及びこれらのもので組織する民間の団体の意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、厚木市環境審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(平10条例11・追加、平12条例17・一部改正)
(国等への措置要請)
第10条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関し必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(平10条例11・旧第8条繰下・一部改正)
(審議会)
第11条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、厚木市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 良好な環境の保全及び創造に関する重要事項に関すること。
(3) その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、15人以内の委員をもって組織する。
4 審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
(平10条例11・旧第9条繰下・一部改正、平12条例7・一部改正)
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成10年条例第11号)
(施行期日)
1 この条例は、平成10年4月1日から施行する。
(厚木市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 厚木市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和43年厚木市条例第16号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
厚木市ラブホテル建築規制条例の一部改正)
3 厚木市ラブホテル建築規制条例(昭和62年厚木市条例第17号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附 則(平成12年条例第7号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成12年4月1日から施行する。

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