イラク攻撃はパンドラの箱を開く
「いづれアメリカは中東で戦争を起こす」。これは2年ほど前にお会いした中東問題専門家の予見でした。それが現実の危機として迫る中、私は地方議員として出来る行動を起こさねばと、厚木市議会9月定例会でアメリカによるイラク攻撃に反対する意見表明を日本国政府に求める意見書案を提案しました。各会派の意見を織り交ぜながら意見書がまとめられ、全員賛成となりました。
 イラク攻撃は、イランやサウジなどに波及するなど、中東地域でのパンドラの箱を開くきっかけになり得ます。中東諸国の国境線の多くは、20世紀にイギリスが主導し線引きされました。従って、国境線の歴史が浅いため、混乱を誘発する可能性が大きいと言えます。その場合、世界経済にも影響を与え、厚木市民も無縁ではいられません。
 現代社会の大前提である石油権益を意に添うようにするための戦争の危機。それがアメリカが仕掛けようとしているイラク攻撃の本質です。
 私たちは、過去400〜500百年続いている西洋近代社会の在り方が問われている歴史の転換期に立っています。発展途上国から資源・労働力を安価で提供を受け、豊かな暮らしを享受する。これに対するアンチテーゼとして、原理主義的な動きが表面化して来たと見て良いでしょう。
 アメリカがイラクを攻撃する上での大義名分として、核兵器や生物化学兵器の保有疑惑、アルカイダとの関係などを挙げています。しかし、昨今のアメリカ国内のマスコミの中には、自国に対して厳しい論調の特集記事も出始めています。一例では、ニューズウィークは、「怪物サダム・フセインを作ったのはアメリカだ」「アメリカは何故世界から嫌われるか」といった連載特集記事を組みました。
 ブッシュ政権がイラクへの攻撃を開始する構えを強める中、自らの姿を振り返ろうとするマスコミの論調は、アメリカという国の健全さを感じます。
 どこの国にも歴史や社会の発展段階があり、それらを尊重する姿勢が不可欠です。拳をあげたアメリカの立場も保ちながら、外交努力による危機の解決を望みます。

2002年10月30日