厚木市議 高田 ひろし通信 on the web  

市議辞職を通して改めて感じる市民の影響力

週刊金曜日(1997年7月11日号)

 議員バッチをチラつかせて市職員を脅し、道路工事の価格を聞き出して業者へ伝えた「 入札妨害容疑」で神奈川県厚木市の佐藤明市議(五十九才、二期目)が四月二三日に逮捕 された。そして、遂に拘留中の本人に代わって代理人が辞職願いを七月六日に提出した。

 ここに至るまでに、議会の対応を含めて、市民の声なき声がいかに大切であるかを感 じる。厚木市議会は同市議に「政治的・道義的責任を明らかにするべき」だとして、まず は本人の進退についての意思を確認しようとした。ところが、弁護士が回答をしなかった り、のらりくらりとかわされ、本人の意思を確認できたのは六月一二日であった。正副 議長が本人に接見したところ、「今すぐ辞めるつもりはない。公判の中で明らかにしたい 」と回答。副議長に よると本人の様は、「お元気でした」とのこと。

 これを受けて、議会としてもこれ以上は待てないと判断し、議員辞職勧告決議案提出と なった。なお、本人による自主的な辞職を促すために、決議案提出前日に正副議長が再度 本人に接見したが、 「出すならどうぞ」だったそうだ。

 今回の決議案は、同市議への判決が決定していない段階のため、市議会の一部には慎重 論もあった。「疑わしきは罰せず」の原則から言えばもっともなことだが、この入札妨害 事件を前提に市職員も処分を受けている。又、何と言っても、市民の声を背にしていたの が大きい。

 その一方で、厚木市議会では、筆者も委員となって「倫理問題協議会」を設置し、現行 法規を越えた、より厳しいお互いの申し合わせ事項を作成しようと取り組んでいる。この 協議会設置に対して当初、保守系の議員らは必ずしも積極的ではなかった。しかしながら 、市民派の議員が「制度・倫理の両面を議論すべき」と主張して設置されたこの協議会に 、保守系議員も今や積極的に参加している。市民の声に後押しされたものと思われる。  事件発生後、議会では常に、「市民から対応を見られている」という意識がはたらいて いおり、世論に敏感に反応していた。又、辞職願い提出も第一回公判を三日後に控えての 判断もあろうが、一連の経過を見ると、市民の思いが通じた側面が大きい。

 ところで、議員は逮捕されても自ら「辞める」と言わない限り誰にも辞めさせることは 出来ない。オレンジ共済疑惑の友部達夫参議院議員と同様だ。それだけ選挙というものに 重さがあることを一つの教訓にしたい。

                            (厚木市議  高田ひろし)