朝鮮民主主義人民共和国が言うところの人工衛星(ミサイル?)発射問題について

日時:1998年9月7日    厚木市議会運営委員会
8月31日の北朝鮮による「ミサイル発射」の報を受けて、9月7日に議会運営委員会が開催されました。結果としては、何も決議を出さないことになりました。
 私は前夜、軍事評論家で、東京国際大学教授の前田哲男氏に電話して、次のコメントをいただきました。

@アメリカは、事実上、最初の発表を修正する方向にある。
A現時点で、ミサイルと決めつけると、行き過ぎの可能性がある。
B人工衛星の場合、ソフトボールかバレーボールくらいの大きさのため、アメリカも技術的に白黒つけにくい。
C北朝鮮が軌道を特定する詳細なデータを出さなければ、はっきりしない。

 つまり、7日現在では、残念ながら日本政府はもちろん、アメリカ政府もミサイルとも人工衛星とも断定することが出来ないので、厚木市議会がミサイルと断定する訳にはいかない状況でした。




前田氏のアドバイスを基にして、下記の文案を作成の上、議会運営委員会に出席しました

朝鮮民主主義人民共和国による
        ミサイル/人工衛星発射についての決議(案)
  

  平和:市民 高田 浩

 去る8月31日に行った、貴国が言うところの人工衛星発射は、次の点で大変に遺憾である。 ^ 事前通告がなかった。_ 日本上空を通過したこと。` 多くの日本国民に軍事的な威圧を与えた。
 従って、以下の二点を強く求めるものである。すなわち、^ 以後、こうした事態を起こさないことと、_ 人工衛星ならば、軌道を明確にする詳細なデータの提出をする。

         
 たたき台とした事務局案の中では、ミサイルとありました。以下は、議論の要約です。敬称略(委員長は、小林議員)

高田:先週とでは状況が変化した。文案を作成して来た。
脇嶋:ミサイル(という文言を)を修正すれば良い。
今村:「ミサイルとおぼしきもの」と変更すれば良い。
釘丸:通告がなかったことに抗議すべき。
小林:ミサイルと断定出来ないのなら、決議を出すのは不合理。
降旗:情報が不足している。
高田:二度と同じ事を繰り返さないことと、情報の提出を求める意見書を出すべき。
村井:これではまとめられない。
小林:今後の状況で、判断する。
 こうした議論(約30分)によって、議決は見送られました。その後、9月14日にアメリカが「人工衛星の打ち上げに失敗したもの」と結論付けたとした報道がありました。


 1998年9月22日に、会派代表者会議が開かれ、私のHP が問題となりました。その際に、このページのコピーも配布され、以下の3点に話が及びました。
@各議員の議論の様子が書かれていること
A「旧民社」との表記は止めて欲しいとの要請
Bミサイル発射についての議会事務局の案文を書いていること
各議員の議論の様子については、「高田さんのメモだ」や「主張はそれだけではなかった」といった事を言われました。しかし、これは新聞の場合でも、例え1時間の議論であっても記事にするのは、主要な部分だけですので、やや無理があるように感じます。「名前を伏せる方法もある」という声もありましたが、それは一つの方法です。
 又、旧民社との表現は、削除しました。そして、最後の「ミサイル発射についての事務局案」も削除しました。「議論の経過が全て明らかになるのは、必ずしも良くない場合がある」との指摘でした。これについては理解出来ますし、事務局の案文は、決裁文書ではないため、厚木市では公文書には該当しないこともあったための判断です。(9/30/98)