個人情報保護法には対応策がある

「個人情報保護」で卒業式撮影禁止


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 和歌山県立田辺中学校と田辺高校(同中学校と一貫教育)が2008年4月に行われた入学式の撮影を遠慮願うハガキを保護者に送付、続いて今年3月の卒業式でも同様の郵便を送付する方針であるとの報道をYahoo! Japan全国ニュースと紀伊民報HPで観た。紀伊民報には次の通りあった。



 入学式の際は、保護者あての案内ハガキに「個人情報保護法により、写真・ビデオの撮影等ご遠慮ください」と記載

 校長は「保護者としての気持ちはよく分かるが、写るのが自分の子どもだけではない場合、個人情報保護法で規制される。撮影されるのを嫌がる生徒や保護者がいるかもしれないし、ほかに流用される可能性もある。その場合は学校として責任が持てない」と説明。多くの保護者が一斉に撮影することになると、式を厳粛に開くことができなくなる

(紀伊民報、2009年2月16日付記事より一部抜粋)


 校長個人の法解釈の反映でなかったならば、おそらく何かあったのであろう。相当な何かが。

 私が昨年出席した同窓会で住所録が配布されなかったことがあった。幹事が個人情報保護法に配慮したためだが、出席者からは少なからず疑問の声があがっていた。これには対策がある。同窓会の出欠確認の返信ハガキに「住所録を配布します。連絡先を記載されたくない場合はこのハガキにその旨お知らせ下さい」と書けば問題は解消する。
 この方法を入学式や卒業式にも当てはめれば問題は解消するものの、「○△さんは撮影しないで」などと告知することは現実的ではないのであろう。
 被写体の同意を得ない他への流用は肖像権に触れる行為。それはその写真・ビデオを利用した人間の問題である。学校が責任を取る必要がどこまであるのか。それを理由に「写真・ビデオの撮影等禁止」とするのは無理はないか。
 田辺中学校と田辺高校の意思決定の背後にある「何か」は知る由もないが、個人情報保護法及びその関連法について全国に誤解と過剰反応を拡げる一因となって欲しくない。個人情報保護法は情報公開法と車の両輪。ともに市民生活を守る大切な法律だが、今回のケースではどうであろうか。

Upload:16 February,2009