映画:ブタがいた教室

 「一粒で何度も美味しい映画」でした。小学校6年生のクラスでブタを飼い、卒業に際してブタをどうするか。飼育をする過程や卒業が迫る中、生命の尊厳や食べ物への感謝、友情、愛情、食育、民主主義の原理原則...。一年間で多くを学びます。
 教員にとっての学校現場は私が小学生だった頃と比較して、自由度は狭まり多忙となっているようです。クラスメートと先生の自宅へ行って遊んだ記憶がありますが、今ではそれはかなわないと聞いています。
 学校でブタを飼う。この発想をしたのは新任教師。「勉強に行っているのかブタを飼いに行っているのかわからない」などと複数の保護者に詰め寄られても、子供目線で親を諭しながら新任教師をカバーする校長先生。問題が発生した際に、事なかれ主義になったり議論を避ける方法もあるでしょう。

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 しかし、管理職は多角的に考察するとともに「かつての自分は?」といった視点で自問自答する姿勢も必要でしょう。また、問題を回避する教員を増やす役割になることは避けてもらいたいとも思います。
 ブタのPちゃんをどうするか。「Pちゃんの命の長さを決めていいのか」などと哲学的な議論や選択肢が何度となく教室で交わされます。議論は重要です。児童にどれだけのインパクトを残したかはかり知れません。
 私は発展途上国を旅して様々な場面を見てきたこともあり、食べ物を残す行為には敏感です。世界の食糧の10%を輸入する日本。食べ残しや賞味期限切れとなった食品がなく、余分な食料が海外に出回っていたとしたらどれだけの人々が助かるかと、私はときおり思いを馳せます。地球の問題解決の糸口は、地域(厚木市)にもあります。
 カメラワークも効果的でした。最後は、ブタの目線で子供達を見たシーン。これは心に残るシーンでした。年代を問わないで楽しめる映画でした。

アップロード:2008年11月15日